へヴィ・メタルの元祖たる未曾有のサウンドを生んだ重量級リフ・マスター
出生:1948年2月19日
出身地:イギリス ウェスト・ミッドランズ州バーミンガム
ジャンル:HR/HM、ブルース
活動バンド:BLACK SABBATH,HEAVEN AND HELL,solo,他
主な使用ギター:ギブソン・SG、ジェイ・ディー・カスタム・モデル、他
おすすめCD
Masters of Reality/BLACK SABBATH(’71年)
ダウン・チューニングの導入によってさらなるヘヴィ化を実現させた3rd「Sweet Leaf」「Children Of The Grave」といった強烈なリフ・ナンバーを収録。
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Paranoid
略歴
“現代へヴィ・ギター・ミュージック”の始祖と呼ぶべき偉大なギタリスト、トニー・アイオミ。ブルースやジャズに傾倒していた彼は、ある年の誕生日にギターをプレゼントされてからは独学で練習を重ねたという。
’68年に地元バーミンガムにてオジー・オズボーン(vo)、ギーザー・バトラー(b)、ビル・ワード(dr)とブルース・ロック・バンドのアースを結成。同年には、2週間だけジェスロ・タルに加入した事もあったが、すぐにアースへ復帰している。次第によりヘヴィなサウンドを目指すようになった彼等はブラック・サバスと改名。オカルティックなイメージを導入したバンドのデビュー作『Black Sabbath』(’70年)は、’70年2月13日の金曜日に発表されている。
この作品で披露された、後にドゥーム・メタルの原点と言われるようになる前人未到の重苦しいサウンドは、トニーの個性的なギター・プレイがその確立に大きく貢献していた。代表的なポイントは1度5度のコード・ワークだ。
彼は電気溶接の作業中の事故により、一旦はギタリストになることを諦めたトニーだったが、火傷で2本の指を失ったギタリスト:ジャンゴ・ラインハルトの演奏を聴いて立ち直ったのだという。その後、指先を失った部分に自作のプラスティック製チップをはめてプレイし始めたトニーは、薬指の代わりに小指を使い、人差し指と合わせて先述の1度5度コードを多用するようになった。これが後のHR/HMのリフ・ワークにおける常用コードとなったわけである。
デビュー作ではまだまだジャズ風味を交えたブルース・バンドというイメージが残っていたが、タイトル・トラックのヒットによって出世作となった2nd『Paranoid』(’70年)では、ヘヴィなリフをフィーチャーしたハード・ロックという方向性が明確になり、これに続いてリリースされた3rd『Master of Reality』(’71年)では、さらにヘヴィなサウンドを作り出すべくダウン・チューニングを早くも導入。これもまたヘヴィ・ロック界における常套手段となった事は言うまでもない。
エキセントリックなフロントマン:オジーを解雇した’79年以降、サバスは度重なるメンバー・チェンジが起こるようになる。レインボーをロニー・ジェイムズ・ディオを迎えた暗黒様式美メタルの傑作『Heaven & Hell』(’80年)を製作した事を始めとして、元ディープ・パープルのイアン・ギラン、グレン・ヒューズといったシンガーが度々交代。
’80年代にはサバスの精神的支柱とも言えるギーザ―さえもバンドを離れることがあったが、トニーに関してはデビューから現在まで、1度たりともサバスを捨てた事はなかった。そして彼の存在が、作品ごとに微妙なテイストの変化はありつつも、あくまでサバスの本筋であるヘヴィ・リフの魅力が保持されている事につながっているのだろう。
ちなみに当初トニーのソロ・アルバムとして製作されていた『Seventh Star』(’85年)がレコード会社の策略で”ブラック・サバス・フィーチャリング・トニー・アイオミ”というよく分からない名義にさせられたこともあったが、’01年にはようやく初のソロ・アルバム『Iommi』(’01年)を発表している。
幾度かのイベント的再結成を経て、’98年にはオリジナル・ラインナップが遂に復活。ライヴ・アルバム『Reunion』(’98年)が発表されており、その後も断続的に“Ozzfest”を始めとしたライヴ・ステージに姿を現している。
しかしオリジナルの4人で新たなスタジオ・アルバムが作られる事は未だに実現しておらず、一方でトニーはグレン・ヒューズとのプロジェクト作品発表を挟み、’07~’09年には“ディオ期サバス”の変名バンド:ヘヴン・アンド・ヘルでのツアー~アルバム発表を行なった。が、このバンドは’10年にロニーが亡くなった事で封印されてしまった。
そして新たに発表されたトニーの活動の場は、久方ぶりのオリジナル・サバス再編である。ニュー・アルバム発表がアナウンスされているが、それが実現すればオジーを含むメンツでのアルバム・リリースは’79年以来の事となる。
関連書籍
サバスを結成以来牽引し、オリジナリティ溢れる音楽性で“ヘヴィ・ギター”のスタンダードを確立した“孤高の左利きギタリスト”トニー・アイオミをフィーチュア。本邦初公開となるスペシャル・インタビューを始め、愛用“J.D.”ギターを基軸とする使用機材解説、関連作品完全ディスコグラフィ、波瀾万丈の15,000文字超バイオグラフィ、独自アイデアを満載したプレイ・スタイル分析、名演ギター・スコア×3曲…といったコンテンツで、その魅力と偉大なる功績を浮き彫りにしていきます!
書籍「アイアン・マン トニー・アイオミ」
トニー・アイオミの自伝本です。
トニー・アイオミが自身の生い立ちから「ブラック・サバス」の結成、レコーディングやライブ秘話、オリジナル・メンバーの「オジー・オズボーン」や「ギーザー・バトラー」、「ビル・ワード」とのエピソードや相次ぐメンバー交代、切っても切れないドラッグとの関係など…バンドの誕生から現在に至るまでを赤裸々に語っています。
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